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絵本「はせがわくん きらいや」は大人にも読んでほしい名作

先日、実家に帰省したときに気が向いたので絵本を読み漁っていた。母が絵本作家ということもあり、リビングの本棚には大量の絵本が置いてある。その中でひとつ、今読んでもとても泣ける絵本があったので紹介しようと思う。

「はせがわくん きらいや」(長谷川 集平)

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全ページ白黒で、墨で荒々しく描かれた力強い絵のタッチが爽快。

あらすじをざっくりと書いてみる。

 

主人公の少年は、「はせがわくん」と幼稚園の頃に出会った。

はせがわくんは体が弱い。少年は「はなたらすし、はあ、がたがたやし、てぇとあしひょろひょろやし、めぇどこむいとんかわからん」とはせがわくんを形容する。幼稚園には赤ちゃんのように乳母車に乗ってくるし、「おんなみたいやなぁ。」と言ったら泣くし、少年は頭にきてはせがわくんを殴ってしまったこともある。

少年は「はせがわくんと いっしょにいてもおもしろくない」不満を言う。それでも、いつもはせがわくんと一緒にいる。

ある日少年は、はせがわくんのお母さんから「はせがわくんは赤ちゃんの時、ヒ素という毒の入ったミルクを飲んだため体が弱くなってしまった」ことを聞く。それでも少年は自分の思ったことに素直だ。「おばちゃんのゆうこと、ようわからんわ。なんで、そんなミルク飲ませたんや」「長谷川くんといっしょにおったら、しんどうてかなわんわ」

でも少年ははせがわくんが心配で仕方がない。「はせがわくん もっと早うに走ってみいな。はせがわくん 泣かんときいな。… はせがわくん だいじょうぶか。はせがわくん。」鉄棒から落ちて大泣きするはせがわくんに、自分のお気に入りのバットを放り投げて駆け寄る少年。

最後は、長谷川君を背負って歩きながら「長谷川くんなんか きらいや。大だいだいだい  だあいきらい。」と結ばれる。

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子どもの頃に読んだこともあったが、そのときにはあまり印象には残らなかった。ただ「はせがわくんがかわいそう」としか思わなかった。大人になり、「障害者」という言葉に対して繊細になり、どう接して良いか分からずどこか見てみぬふりをしていた今、この本を読んで心を打たれた。

素直に「きらいや」ときつい言葉をぶつけながら、いつもそばにいてあげる少年。障害とは関係なく、一人の同じ人間としてはせがわくんに向き合ったいるからこそ「きらい」とはっきり言えるのだ。

どれだけ文句を言われても、いつも傍で気にかけてくれる友人がいて、はせがわくんは嬉しかったに違いない。

ぼくを含め、世の中には障害者を「かわいそう」と同情するだけの人がほとんどだ。結局は「余裕がないから」と言い訳して距離を取り、心のどこかで自分とは違った世界の他者として見てしまう。きっと大切なのは同情することでも、ただ手を差し伸べることでもなく、障害を受け入れて同じ一人の人間として向き合うことだ。

「はせがわくん きらいや」は普段の自分の行動を反省させられる素晴らしい絵本だった。子どももだが、大人にこそ是非読んでもらいたい1冊。