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学生をタダ働きさせる長期インターンシップがキライな理由

the office
the office | Flickr

今回はどうしても書きたいことができたので、それについて。普段とは少しテーマが違うが、読んでもらえると嬉しい。

 

ぼくは、日本に蔓延している無給の長期インターンシップというものが嫌いだ。

先日、とあるITベンチャー企業にインターンシップ生として働きに行った後輩の学生が少し精神的に病んでしまったことを知った。後輩からそのインターンについて「無給で交通費さえ出ていないこと」「雑用業務が多いこと」「睡眠時間を削られること」などと聞いていたため心配だったが、タフな後輩だっただけに、まさかそこまで追い込まれるとは想像できなかった。

学生の貴重な自由な時間を、何も教わることのないブラック企業に捧げてしまうことほど勿体無いことはない。現在進行形で騙されている純粋な学生も多いだろうから、今回は無給の長期インターンシップの問題点と文句をまとめてみる。

 

成長という便利な言葉に騙されていはいけない

インターンに関わらず、ブラック企業を中心に都合よく使われる言葉が「成長」だ。資金繰りが厳しい会社にとって、賃金は大きな負担だ。労働力にコストをかけられないとき、報酬の代わりに「成長」を提示するという手法がよく取られる。「成長(成功)するために寸暇を惜しんで働け」「お金より成長の方が大事」というように言っておけば賃金が安いことを正当化できるのだ。

正直、成長をウリにして無給で学生をインターンシップさせるような企業では”成長”できない。そもそも成長という言葉自体、抽象的すぎて何のことかさっぱり分からない。デスクワークができるようになること?メンタル的な強さ?

数ヶ月のインターンで成長できることなんか、どれも数十年間の社会人のほんのはじめの数ヶ月で身につけられる。学生時代に成長なんか気にしなくていい。これほど時間があり、エネルギーに溢れた期間は人生で二度とない。”成長”よりも、やりたいことに思いっきり没頭するべきだ。

 

好きなことはそう簡単に見つからない

好きなことを見つけるために長期インターンに参加しようとする学生がいる。

自分の興味が分かっていて、その仕事を体験してみるのは有益だろう。ただ、無闇にインターン出来そうな会社でインターンすることで見れる世界は、ごく一部の世界だ。学生時代の数ヶ月間を1つの会社に捧げて良いのか。その会社で働いただけで好きなことが見つかったら苦労しない。

もちろん良い会社に出会えることもある。そんな会社を見極める最も簡単で分かりやすい方法は「賃金をきちんと払ってくれる会社」でフィルターをかけることだ。

 

周りの学生から抜きん出た感覚は幻想

学生時代に社会人と同じように働けば、まわり遊び呆けている学生と比べて自分が特别で優秀な人間な気がしてくるかもしれない。

当たり前だが、働けばその仕事はできるようになる。それは誰でも共通だ。

数ヶ月間インターンしただけで特别な能力は身につかない。ぼく自身、「学生時代に周りから褒め称えられてきたばかりに、社会人になってからも過去の栄光を捨てられない人たち」を、多く見てきた。インターンをしたくらいで優越感を持つのはやめたほうがいい。会社で何かを教わった経験ではなく、自分の手で何か作り上げた経験こそ将来の財産になる。

 

学生を体験で働かせることにもお金がかかるという文句

こういう話をすると、「学生に仕事を体験させるのには逆にコストがかかるんだ」「忙しい中、面倒を見てインターンさせてやってるんだ」という意見が出てくる。たしかに1日〜1週間のインターンだったらそうだろう。しかし、数ヶ月間のインターンになると、会社側のコストより学生が会社に貢献した分のほうが間違いなく大きい。

素直な学生は「働かせてもらってる」という感覚を持ちがちだが、もっと図々しくなっていい。本当に学生のことを親身に思っている大人は、学生をタダ働きさせたりしない。

 

インターン斡旋会社の収益構造

日本には長期インターンの斡旋の会社やNPOがある。「成長」「夢」「やりたいことが見つかる」などの言葉で純粋な学生を集め、セミナーを行い、学生たちを提携している中小企業でタダ働きさせるという仕組みだ。聞いた話だと、労働量は半端ではない。

こういう斡旋会社は、中小企業から「寄付金」的な名目でお金を貰う。つまりは無料の労働力を集め、それを格安で中小企業に売っているのだ。

 

経営者の近くで働けるという怪しい謳い文句

インターン斡旋会社・NPOで学生を集めるためによく使われるのが「経営者の近くで働ける」という言葉だ。たしかに従業人が数人の中小企業で働けば、経営者は近いだろう。

ただ、「経営者=スゴイ人」というのは完全に思考停止している考え方だ。世の中には優れた経営者もいるし、言葉は悪いがクソ経営者もたくさんいる。

優秀な経営者は結果を出す。学生のアルバイト代さえ出せない会社の経営者から学ぶことが多くあるとは思えない。肩書きに騙されてはいけない。

 

そもそも法的にアウト

これを理解していない経営者が多いが、無給で学生を働かせることはそもそも法律を違反している。

学生を無給または最低賃金以下で働かせるインターンシップは適法なのか|弁護士ドットコムニュース」によると

  • インターンシップ生が労働者に該当する場合、無給や最低賃金以下で働かせることは違法
  • インターン生が労働者に該当するかどうかは、使用者との指揮命令関係の有無や、インターンでの作業が企業の利益につながったかなどの事情によって判断される

つまり、「インターン生によって企業が何らかの利益を得た時点」、「インターン生が社員から何らかの指揮命令を受けて働いた時点」で学生を違法に働かせたことになる。このことを一部の企業は知らないのか、見てみぬフリをしているのか分からないが、学生を社員と同じように不当に働かせている。

とはいえ、個人的には法律よりもモラル面で問題を感じないのかと疑問に思う。お金に余裕がある学生なんてほとんどいない。素直な学生は大人の言葉を信じて、”成長”するために、アルバイトの時間を削ってまで、タダ働きしているのだ。中には平日に無給インターンをして、土日にお金を稼ぐためのアルバイトをしている学生もいる。本当にそれで良いのだろうか。会社が成功さえすれば良いのだろうか。

 

学生へのアドバイス

  • 無給で、長期で働かせる会社はまず怪しんだほうが良い
  • インターン斡旋会社なんて通さずに、自分が素敵だと思う会社に直接連絡を取って働かせてもらえるように頼み込んだほうが良い
  • 就活でインターンネタはそんなに効果がないことを理解しておく。好きなことをやるために自発的に動いた経験こそが面白がって聞いてもらえる
  • 学生をうまく利用しようとする大人がいることを知っておく

あくまでもぼくが批判しているのは「無給の長期インターン」だ。数日間のインターンや、出した成果の分だけ報酬がもらえる長期インターンには反対していない。新卒入社する前に、実際にその会社で働いてみてミスマッチを防ぐことは合理的だ。

ただ、貴重すぎる学生の時間を大人に上手く使われてしまわないように、気をつけよう。

 

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