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ヒット商品を生み出すためのマーケティング手法 9つのTips

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大きな会社で働いていると、当然だが優秀な人と、そうとも言えない人とも一緒に仕事をする。その境目は曖昧なのだけれども、どんなプロダクトを担当してもヒットさせてしまう人と、そうでない人がいる

なにが違うのか。見ている先が違う。視野の広さが違う。ヒットを連発するスラッガーは、表面的な事象に振り回されずに、本質を見ようとする。ユーザー目線を持ちながらも、ただユーザーに媚びるだけのようなマーケティングはしない。

この記事では、僕が一緒に仕事をしてきた人の考え方を参考に、打率を上げるためのマーケティングの考え方を9つに分けて紹介する

 

1. ユーザーから考えろ

商品設計は、ユーザーから始まる。はじめから競合を見ると、つまらない商品が出来上がる。「あれは商品Aはこう、商品Bはこう、だからAとBからここを変えれば良いのでは?」のような競合ありきの商品設計をしてはいけない。

優秀なプロダクトマネジャーはユーザー像を頭の中にはっきりと思い浮かべ、頭の中で何百、何千もの思考実験をする。たとえば次のような観点から、ユーザーをより満足させる商品はどんなものなのか目処を立てる。

  • ユーザーは何に不満を感じているのか
  • ユーザーは何を不便だと感じているのか
  • どうすれば、ユーザーの生活をより便利にできるのか
  • どうすれば、ユーザーがより楽しい体験をできるのか

ヒット商品を連発するスラッガーは、これを無意識に精度高く行う。頭の中で数多くトライアルし、ユーザーにとって嬉しい商品アイデアと仮説を立てる。凡打ばかりの人はこれができない。だから、競合から考えたがる。

 

2. 多機能=商品価値だと思うな

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日本のメーカーの多くが、ここで失敗してきた。多機能にすればユーザーも嬉しいだろうと乱暴な想定をして、必要のない機能をたくさんつけ、価格を上げ、商品の本当の魅力を「多機能」という言葉によって隠してしまった。機能を余分につければ、その分価格は上がる。操作は複雑になる。機能を付け加える場合、「本当にその機能は必要か」、「他の商品がその機能が担う領域をカバーしているのではないか」、「ユーザーにとって値上がり分だけの嬉しさはあるのか」、これらのことについて、熟考しなければならない。

 

3. 説明書で使い方を説明しようとするな

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説明書に頼っているような商品は大抵ヒットしない。ヒットする商品やサービスは用途と使用方法が明確だ。デザインは直感的で、ユーザーを迷わせない。説明書を開くまでもなく、商品そのものを手に取れば使い方が分かるのだ。「説明書に書いてある」とは、決して言ってはいけない。可能な限り直感的に分かる商品設計・デザインにしなければならない。分かりづらいデザインの商品は、ユーザーにストレスを与える。ストレスは商品の使用頻度を下げる。また、他商品への乗り換える大きな理由になる。このあたりのプロダクトデザインの考え方については、このブログでも何度も紹介している「誰のためのデザイン?」によくまとめられている。

 

4. マジョリティーを狙うなら価格設定は死ぬほど重要だ

ターゲットゾーンによって、価格に対する重要度は変わってくる。富裕層をターゲットにした商品は多少価格が上がっても、売れ行きが落ちこみにくい傾向がある(あくまでも傾向)。そのため、価格を上げてでも、商品価値・品質の向上を狙うことも1つの戦略になる。一方で、マジョリティー層を狙った商品の場合、特に価格設定が重要となる。ターゲットユーザーが求める価格レンジを明確にし、価格ありきの企画をしなければならない。「作ってみたら開発に思ったよりお金がかかってしまったから」と販売価格を軽々しく上げてはいけない。企画段階から販売価格を見据え、常に原価を意識した商品設計をすること、本当にユーザーにとって必要な機能に絞り込むことが重要なのだ。

 

5. 商品企画は少人数でやれ

大人数で企画すると、商品は多機能で、どこか既視感のあるモノになりがちだ。誰もが納得するような折衷案を取り、誰もが納得するよう様々な機能を織り込み、せっかく尖っていた部分も段々と削れて行ってしまう。また、多くの人の意見がそれぞれ織り込まれるため、得てして統一感のない商品が出来上がる。基本的には商品企画は少人数で行ったほうが良い。大人数で企画する場合でも、すべての点で最終的な意思決定権を持つ、優秀な人をひとり置いておくことが重要だ。”みんなの意見をめいっぱい取り込んだ商品”にしてはいけない。

 

6. 売れる商品はデータでは示せない場合が多い

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「こういう商品がヒットするのではないか」という仮説を立てたとして、ヒットすることをデータで明確に示すのは難しい。マーケットがどれだけ拡大しているのかを出せたとしても、商品がそのマーケットで売れるのかということを示すわけではない。また、本当のヒット商品は新しいマーケットを作り出してしまうようなものだ。また、想定されるターゲットユーザーにアンケートを取ったとしても、嗜好や感覚に関するアンケートは得てしてあまり信用できない。残念ながら、企画段階で商品の明確なヒットをデータで予測することは難しい。データは重要だが、データはヒット率の指標にはならない。だからこそ、プロダクトマネジャーの腕に商品のヒットはかかってくる。

じゃあどうするべきか。開発に時間と資金があまりかからないものなら、作ってしまった方が良い。Webサービスやアプリなら下手に検討に時間をかけるより、スモールスタートし、ユーザーの反応を見ていったほうが早い。検討時間をかけない分、失敗したときのコストも少ない。

開発に時間と莫大な資金がかかり、失敗できない場合には、可能な限りの人脈を使って、有識者にヒヤリングをかける。優秀な人にアイデアを聞けば、その商品がヒットするか失敗するかは結構言い当てられるものだ。

 

7. 商品・サービスのヒットしやすさを測る方法

とはいえ、売れる商品・サービスには傾向がある。たとえば、以下のようなものだ。

商品の魅力を端的に言語化できるか

それがユーザーの生活をどう変えるのか、なぜユーザーがこの商品を使おうと思うのか、明確に、ロジカルに説明できるか。人によって受け取り方が異なるような「楽しい」や「新鮮」や「刺激的」など抽象的な表現しかできない商品というのはそれなりなのだ。

 

新商品なら海外にすでに同様の商品がないか

インターネットや知っている限りの知人ネットワークを使って徹底的に調べる。今ならほとんどのサービス・プロダクトがインターネットでヒットする。日本語圏はもちろん、最低限、英語圏までは調べたほうが良い。そして、その商品がその国でヒットしているかどうかを調べる。既に似たような商品が存在しており、それがヒットしていないなら、なぜヒットしていないかをロジカルに検証する。

 

「それなら◯でいいじゃん」に対する明確な答えはあるか

たとえ、その商品に他にはないオリジナリティーがあったとしても、使用用途的に、タイミング的に、他商品と共存できないものは多くある。企画商品Aをユーザーが利用することで、他に利用しなくなる競合商品Bはあるのか?また、Bから時間的・金銭的コストをかけてまでAに乗り換えるだけの商品価値がAにはあるのか?これらのことを熟考したほうが良い。

 

8. 商品に対するユーザーの声を聞け

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商品は販売したら終わりではない。ユーザーの評価を集め、改善すべき点を見つける。幸い、今ではSNSというユーザーの商品評価を簡単に手に入れられる便利なツールがある。これを利用しない手はない。また、必要であればユーザーを集めてヒアリングを行うべきだ。人は、自分で企画したモノに対して過大評価する傾向がある。謙虚にユーザーの声を聞くことをサボってはいけない。

 

売れる・売れない理由の本質を掴め

売り上げ・販売数に踊らされてはいけない。売れている理由・売れていない理由の本質をつかむために常に深い分析をする。売れていないなら、なぜ売れていないのかを徹底的に調査する。商品に魅力がないのか、全体のマーケットが縮小しているのか、知名度がないだけなのか、あるいは価格が高いのか。売れない理由を見誤れば、もっと売れない方向に進んでしまう。

たとえば、ユーザーの求める価格より高いために売れていないのに関わらず、商品に機能を追加してさらに価格を上げるようなことをしてはいけない。このときやるべきことは無駄な機能を削ぎ落とし、原価を下げ、販売価格を下げることだ(これにはなかなか勇気がいる)。また、単純に知名度が足りていないのであれば、やるべきことは効果的なプロモーション戦略を練ることだ。

逆に販売が好調であっても、なぜ売れているのかは分析した方が良い。単純に競合より価格が安いからなのか、商品に魅力があるのか、ソーシャルメディアで話題になったからなのか(それは一時的なものなのか)、ユーザーは誰なのか、そのユーザーは次にどこにいくのか…。これらの情報を徹底的に集め、ユーザーが離れないように、競合や新規参入によりその地位が奪われないように、戦略を立てることが重要だ。

 

本当にそれはマジョリティーの声なのか?

多くのユーザーがいる商品の場合、たいてい不満の声というのは過大解釈される。本当は1万人のうち、たった1人の声が、あたかもユーザーの総意として取り上げられてしまうのだ。マイノリティーの声を拾うこともときに大切だが、一方でそれはマジョリティーにとっても嬉しいことなのかということについてはよく検討する必要がある。マイノリティーの声を深刻に受け止め、商品設計を変えた結果、マジョリティーのニーズに合わない商品ができてしまう、なんてことはよくある話なのだ。

  

9. マーケティング力の鍛え方

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最後に、どうすればヒット商品を連発するスラッガーになれるのかを書きたい。僕が見てきた「ヒット商品を次々に生み出す人」は、揃って3つの能力が長けていた

  1. 論理的思考力
  2. どれだけ多くの商品の成功と失敗を見てきたか
  3. どれだけバリエーション豊かな人生経験を積んできたか 

 

1. 論理的思考力

「商品は人が直感的に使うものなのだから、企画・設計も直感的にするべきだ」と思うのは大きな間違いだ。便利で使いやすい製品というのはロジックを突き詰めたところから生まれる。「ターゲットユーザーはAという環境で生活しており、BだからCを好む」というように、1つずつロジックを積み上げることで、手探りの企画段階でもユーザーにとって最適な設計をできる可能性が高くなる。

 

2.どれだけ多くの商品の成功と失敗を見てきたか

ロジックを正しく組み立てたとしても、そもそもその切り口が間違ってしまっているということはよくある。”正しい切り口”で、正しくロジックを組み立てなければならない。多様のユーザーがいる中で、本質的な切り口を選び出すには経験も必要になる。その経験とは、多くの商品の成功と失敗を見ることだ。どんな切り口で、どういう設計をしている商品が好まれるのか、あるいは棄却されるのかというようなことを大量にインプットすることだ。スラッガーはその経験値が圧倒的に高く、ヒットの有無を左右する商品のエッセンスを見つけ出し、切り口として選ぶ

大量に情報収集をし「どんなアイデアは世の中に受け入れられるのか」逆に「受け入れられないのか」ということを何度も何度も経験していく。

新しいプロダクトが出たら、まずは自分でそのプロダクトはヒットするか否か予想してみる。たとえば、ある会社が新しいゲームアプリをリリースしたとする。内容を見て、これは流行るかどうかを予想する。1ヶ月もすればその結果は分かる。「こんなマジメな内容のゲームが意外と受け入れられるんだなー」などと分かることがある。繰り返すうちにだんだんとその原因も分かるようになる。これはここが足りてないからヒットしないだろうと経験から読めてくる。プロダクトなら実際に自分の手で使ってみるとさらにその精度は上がる。

情報はどれだけでも溢れているのだから、これを日常的に繰り返すことはそう難しくない。自分の感じた違和感や楽しさなどの感情と、世間の反応とのズレも分かってくる。これは単純に楽しい。そして、その経験はアイデアを考えるときの引き出しのひとつにもなる。

本当に優れたアイデアをシステマチックに絞り出す方法 - Literally

 

 3.どれだけバリエーション豊かな人生経験を積んできたか 

「人のことをどれだけ分かっているか」これが商品企画・設計において最重要な能力だ。人が何を喜び、何に悲しみ、何に苛立ち、何で幸福感を感じるのか。人の考えや気持ちをよく分かっている人は、何が受け入れられ、何が受け入れられないかを知っている。そして、そういう感覚は人生を味わうことで身についていく。それは、生きた年数では計れない。どれだけバリエーション豊かな体験をしてきたか。どれだけディープで感情を振り回されるような体験をしてきたか。嬉しい感情、楽しい感情、悲しい感情をどれだけ味わってきたか。それが企画・設計の拠り所になる。

だから色んな体験をして、色んな心の動きに注目しよう。あなたの日常の小さな出来事や心の動きが、いつかあなたの作る何かに生きてくる。