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「大企業病」感染から発症、末期症状までのプロセスについて

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1. 大企業病の感染源

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優秀な人たちばかりの会社でも、人数が増えれば大企業病にかかる恐れがある。優秀な人しか採らないようにしても、無能な人は少なからず入ってきてしまうためだ。無能な人がいれば、当然仕事の進みに鈍りが生じる。無能な人と一緒に仕事をすることに嫌気がさした優秀な人はどうするか。「ルール」を作る。誰でも仕事がスムーズにまわるよう、明確でわかりやすいルールを作る。このルールこそが一時的に事業を前へ押し進めるものの、後々「大企業病」を発症させる原因なのである。

 

2. 大企業病の発症

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無能な人はルールに固執したがる。「ルールだから」と突き放し、頭を使って考えることをしない。

本来は、仕事をスムーズに、正確に進めるために作られたルールがいつのまにか足枷になる。なぜなら、どんなケースでも最適なルールというものはほとんど存在しないからだ。そのときの状況によっても、時代によっても最適解というのは異なる。にも関わらず、それを人から人へと引き継いでいくうちに、いつのまにかルールは確固たるものになる。それは、本質的な議論を妨げる。

 

無能な人の出世は、さらに大企業病を深刻化させる(無能な人が出世するような仕組みを作ってしまって時点で既に致命的である)。無能な上司は、優秀な部下に非合理的なルールまで押しつける。無能な人は、部下の反論を許さない。内容の是非に関わらず、部下の意見に耳を傾けない。優秀な部下は、段々と正しいことをいうことに意味を見出さなくなる。優秀な上司は、部下の能力を最大限活かし、成長させ、自分も成長する。無能な上司は、自分の仕事の生産性が低いだけで終わらず、(部下を中心に)他人の生産性まで下げる。

無能な上司が増えると、人事評価が歪む。無能な上司が評価するのだから、当然ナンセンスな評価をする。生み出した価値よりも決められたルールをどれだけ忠実に守れているかや、どれだけうまく立ち回っているかばかりを見る。素直さや、付き合いの良さ、勤務時間など訳のわからないウンコ判断軸で評価をするようになる。

優秀な人は、皮肉なことに合理的に「自分の社内の立場」を考える。そうすると、無能な上司に逆らって自分の評価を落とすことになんのメリットも感じなくなる。優秀な人まで、評価されるために、ウンコ判断軸で高評価をもらえるように立ち回るようになる(あるいは、転職をして逃げていく)。優秀な人まで、だんだんと本質よりもルールを守ったり、うまく立ち回ったりすることばかり考えるようになる。つまり、無能な人になる。こうやって無能な人は増殖していく。

 

大企業病の予防の仕方

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ここまで進行してしまったら、もう戻るのは難しい。こうならないような予防策には何があるのか。第1に、無能な人を上に進ませてはいけない。年功序列なんてもってのほかだ。実力主義かつ本質的な成果を評価する風土を作らなければならない。

第2にトップ層が自ら細かいルールまで目を通し、非合理的なものを片っ端から撤廃させていく。無能な人たちのすがりつくものを取り上げ、自分の頭で考えさせる。

第3にダイバーシティのあるリクルーティングをする。若者を中心に外国人や様々な経歴のある人たちを採用する。偏った価値観の中では、偏った非合理的なルールが生まれやすいのだ。

逆に、大企業病を促進する取り組みもある。まず、なんらかのミスをしたときに「反省文」だったり「次回防止策」を書かせること。たしかに次はどうするかを考えるのは重要だが、防止策を深い検討もなく取り入れてしまうのはまずい。ケースバイケースという言葉を許さず、防止策ものばかり作っていくうちに機動力が落ちる。

 

3. 大企業病の初期症状

大企業病にかかっている会社では、アホみたいなルールに縛られた人たちで溢れる。そこでは”仕事ができる人”の定義は「決まったルールの中でスムーズに仕事を進められる人」になる。そもそも、この方向でいいんだっけ?ということを誰もが聞かない。あるいは聞いたところで、誰も正解を知らない。誰もが気づくほどの違和感のあるルールであっても、関係部署が多すぎて、今更変えられない。誰もがその現実を知っている。また、周りに白い目で見られてまで、変えようとするメリットを誰もが感じない。こうなると、会社は鈍く動けない。その場に深く深く根をはるものの、マーケットが動いたときについていけない。

 

4. 大企業病の末期症状

優秀なトップ(社長、役員)がいれば、まだ回復の余地はある。いち早く時代変化に気づき、硬直した会社をトップダウンで変えていけば良い。評価制度を見直し、優秀な社員をリクルーティングし、少しずつ無能な社員の影響力を減らしていく。次の時代を見越し、仕事の進め方を徹底的に見直していく。

しかし、逆に無能な社員がトップまで上がってしまったとき、これはもう完全なる末期症状だ。無能なトップは、無能な社員をさらに上に上げる評価制度を作る。自分より能力が上の社員を認めたがらない。「付き合いの良いヤツこそが理想の社員である」等という意味不明な理論で、仕事においては何の価値も生み出さない社員を高く評価する。上に上がった無能社員は、同様の理論で無能を高く評価する。社内からは「価値を生産する人」がどんどんと減っていく。誰もが社内だけを見て、社内のために動く。ユーザーのことなんて見ない。ユーザーを満足させるプロダクトを作るより、社内で認められるようなプロダクトを作ろうとする。だから、日本の家電メーカーは的外れの機能付きのプロダクトを生み出し、グローバル競争でコテンパンにされてきた。

ユーザー(顧客)の方ではなく社内を見て仕事をする社員が増えたとき、その会社の未来は暗い。 ユーザーを見ずに、良い仕事ができるはずがない。環境の変化に適応できるはずがない。

 

末期症状なのにピンピンしている会社 

さて、例外も書いておく。

大企業病にかかろうとも、ピンピンしている会社は結構ある。それらの会社は、既存の仕組みを忠実に実行していれば一定の利益を上げられるような会社だ。たとえば、食品メーカーや調味料メーカー。人の食欲に終わりはない。食にイノベーションもない。変わらない醤油の味、ポン酢の味を提供してほしい。多くの顧客がそう思っている。企業がやるべきことは競合よりも少しお値打ちで、少し旨い食品を作ることだ。そのため、例え重度な大企業病にかかっていようが、最低限同じモノを作り続けられれば一定の利益は上げられる。

一部のエネルギー系企業も同様だ。大企業病にかかっていようと既得権を握り、他の企業の参入を許さなければ良い。

 

先が暗い大企業に勤める人がすべきこと

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大企業病にかかった大企業で働き続けると、どれだけポテンシャルがある人もその能力を落としていく。その会社では認められていようと、いざなんらかの理由で会社から追い出されたときに自分の力で生きて行くことができない。それはあたかも飼い主を失った犬が急に野生の世界に放され、狩りをしなければならないようなものだ。次の飼い主が見つかれば良いが、ある程度の年齢になると簡単には見つからない。それに、良い役職につき何の価値も生み出さずに美味しい思いをしてきた人に限って、秀でた能力も無いくせに一定以上の報酬を要求したりする。

会社のブランドを自分のブランドだと勘違いするな。あなたの市場価値とは「あなたの持つ能力により生み出される価値」だ。もし、今勤める会社が大企業病末期症状にあり、顧客にとって何の価値もない仕事ばかりしているのであれば、早いうちに転職先を探したほうが良い。

 

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