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知っておくと楽しい知識をまとめて紹介

フィンテックとは何か? 知っておきたい基礎知識と代表的なFinTechサービス・企業まとめ

まとめ

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最近、耳にする機会が増えたフィンテックについてまとめます。これだけ読んでおけばとりあえず「話題についていけない」ということはなくなるでしょう。

 

1. フィンテックとは何か

用語「フィンテック」の意味は?

英語で金融という意味のファイナンス(Finance)+ テクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。ざっくりというと「お金に関わるありとあらゆることを、テクノロジーでもっと便利にしましょう」ということになります。

 

具体的にどんなこと?

いくつか代表例をあげます。言ってしまえば「お金に関わるテクノロジー」であれば、なんでもフィンテックと呼べちゃいます。

  • おサイフケータイ
    f:id:tsukuruiroiro:20161022002838j:plain例)iPhoneにSuicaを登録して駅の改札が通れたり、お店で支払いができるApple Pay改札を通るときにICカードを取り出す手間がなくなります。また、長い列に並んでチャージする必要もありません。 
  • スマホで送金

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    例)LINEアプリで友達にお金が送れるLINE Payまだあまり普及していませんが、誰もがLINE Payを使うようになれば、飲み会での割り勘なんかが随分と楽になりますね。
  • 簡単クレジットカード決済

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    )スマホにカポッとつけるだけで、クレジットカード決済リーダーになるSquare。日本でもコンビニにSquareリーダーが売られていたりと、少しずつ普及してきていますね。Squareは個人でカフェなどのお店を経営する人達にとっては、ものすごく嬉しいサービスです。これまではクレジットカードリーダーを導入しようと思うと、十万円以上はかかりました。手数料も高く、お金が振り込まれるまでに1ヶ月以上かかりました。それがSquareを使えば、数千円で導入でき、決済手数料も比較的安く、最短翌日に振り込まれるのです。
  • クラウドファンディング

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    例)「◯◯という製品を作りたいので、お金を支援してください!」などとインターネットで支援を呼びかける場 KickStarter。魅力的なアイデア、あるいは周りが協力したくなるプロジェクトを実現するのが容易になりました。支援した人の見返りは、プロジェクトを通して作られたモノだったり、お金のこともあります。また、決まった見返りのない寄付型のものもあります。
  • 融資(ソーシャルレンディング)

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    お金を借りたい人or企業と、貸したい人(個人投資家)をマッチングするアメリカのLending CLub。借りる方からすると利息が低く、貸す方からすると利回りが良いため、銀行から借りるより両者がお得になります。じゃあ「本当に信用できるのか」ということなのですが、LendingClubでは「お金を借りたい」という申し込むがあったときに申請者が信用できるか独自のシステムで判定します。細かいところだとECサイト(通販)での購買履歴なんかまでチェックします。銀行にはない発想で効率的に融資を行っているわけですね。
  • などなど(その他多数)

多くの人に馴染みがあるのは、「おサイフケータイ」や「スマホ送金」でしょうか。とはいえ、Squareのようなクレジットカード決済システムは、あと5年もすれば日本中いたるところで目にするようになるはずです。

 

2. なぜフィンテックは急に盛り上がりだしたのか

さて、書店でもフィンテックフィンテック見かけますが、どうしてフィンテックはここ数年間で盛り上がり出したのでしょうか。理由をいくつか考えてみましょう。

 

理由1. スマホの普及

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まず「誰もがスマホを持つようになったこと」が、最大の理由でしょう。PCや折りたたみケータイでは、実現できるサービスに限界があります。Zaimのような家計簿アプリがあんなに使いやすく、レシートまで自動で読み込んでくれるのは、スマホだからこそです。PCでしか使えない家計簿ソフトなんて、誰も使いませんよね。

 

理由2. リーマンショックによる人材の流れ

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こちらもよく言われることですが、リーマンショックの大規模解雇の影響です。金融機関出身の優秀な人材が、フィンテック分野へと流れたのです。とくに、マーケット分析や資産運用サービスについては、金融の専門知識無しでは、優れたものを作ることができません。金融機関出身がフィンテック分野に流れたことで、より高度なサービスが作られるようになったのです。

 

3. データで見るフィンテックの規模

世界のフィンテックの盛り上がりを見てみよう

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アクセンチュア最新調査

この図は、地域ごとのフィンテックへの投資規模の推移を表しています。要点をまとめてみると

  • グローバルなフィンテックへの投資規模は、5年間で10倍以上になっている
  • 北米が圧倒的にフィンテック分野をリードしてきた
  • 近年、欧州とアジアでもフィンテック分野への投資が盛んになってきた

案件数の推移を見ると、フィンテック系のスタートアップ企業が乱立しているのが分かりますね。

 

アジアの中のフィンテックリーダーは?

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Accenture

こちらは2016年の1〜7月までのアジアでのフィンテック分野への投資規模データになります。中国、香港、インドでとくに盛り上がっていることがわかります。

 

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中国では、アリババグループの「アリペイ」という電子決済サービスがすっかり普及しています。ユーザー数は4億人超え(中国以外も含みますが)という恐ろしい規模です。こういったサービスを使って、当然のようにスマホで会計をしたり、割り勘をしたりしているわけですね。また、中国では旧来の銀行への人々の不信感もあります。銀行からお金を借りるより、お得だし、信頼できる!と思うようなサービスが登場してきているのです。

 

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香港はご存知の通り、日本や米国と比べても、国として金融への依存度が非常に高いです(GDPに占める金融業の割合は、日本や米国で5%強に対し、香港では15%強)。その分、フィンテックへの投資規模が大きくなるのは自然なことと言えるかもしれません。

 

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インドは、そもそもIT関連のスタートアップが非常に盛んです。カースト制度が根強く残る中、ITであれば実力次第でどれだけでもステップアップできるチャンスがあるのです。ITに多くの優秀な人材が流れていく中、大きなポテンシャルを秘めたフィンテックにお金が集まるのは自然なことでしょう。また、インドでは政府や旧来の金融機関もフィンテック分野に力を入れています。

 

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じゃあ日本はどうでしょうか。日本では、イマイチこれと言った決定的なフィンテックサービスが登場していない印象です。

その背景には、現金至上主義もあるでしょう。「目に見えないお金=信頼できない、気づかないうちに使ってしまう」と考える日本人はとても多いような気がします。また、どのコンビニにもATMがついており、スマホ決済の必要性を感じていない人も多いことでしょう。

電子マネーがいまいちイケてないのも理由の1つではないでしょうか。どのお店でも共通して使えるお得な電子マネーが登場しておらず、カードばかり数が増えて、消費者の混乱を招いてしまっているというのが現状かもしれません。

さらに、融資関連についても、信頼でき、かつお得な決定的なソーシャルレンディングサービス等はまだ登場していません。

とはいえ、家計簿アプリのZaimマネーフォーワード、クラウド会計ソフトのFreeeなんかは人気がありますね。家計簿なんかは、日本の国民性にマッチしているのでしょう。 

 

ヨーロッパのフィンテックリーダーは?

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Institutional Investor

少し古いデータですが、上図はヨーロッパ諸国における(縦軸)フィンテックへの投資額×(横軸)投資案件数のグラフになります。

 

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イギリスが業界をリードしていることが分かりますね。では何故、英国なのでしょうか。その理由はいくつか考えられます。

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第1に、ロンドンが世界有数の金融都市であること。人材が豊富なところには、企業も集まってきます。第2に、規制面でフィンテック系サービスに寛容であること。イギリス政府のフィンテックに対する姿勢は非常に前向きです。2014年には財務大臣が「グローバルなフィンテック中心国を目指す」ことを宣言しています。サービス普及の妨げになるような規制は、廃止していこうという姿勢があるのです。

しかし、Brexitはフィンテック分野にも少なからず影響を与えることになりそうです。例えば、イギリスの魅力の1つだった「シングルパスポート」というシステムが廃止される可能性があります。これは「1つのEU加盟国で金融機関運営の免許を得ることができれば、他のEU加盟国でも自由に金融商品の販売ができる」といったようなシステムです。もしイギリスでのシングルパスポートが廃止されれば、欧州全体への展開を目指すスタートアップにとってはやや魅力ダウンですね。

しかし、Brexitにより旧来の金融機関が低迷を余儀なくされ、新しい方法を模索しなければならない状況は、スタートアップにとってはある意味チャンスなのかもしれません。

 

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また、北欧もフィンテック分野が盛んです。スウェーデンでは、すでにキャッシュレス社会が実現されつつあります。なんと、2014年のマスターカードの調査によると、スウェーデンにおいては全決済のうち現金による支払いはたったの40%程度にすぎません。日本では、約85%が現金決済であることを考えると、スウェーデンがいかに進んでいるかが分かると思います。中には「現金での支払いはお断り」というお店もあるほどです。

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なぜこれほどにキャッシュレス社会が実現されているのでしょうか。その背景には、2012年からスタートした送金アプリ「Swish」の存在があります。これはスウェーデン国内の主要銀行が協力開発したもので、相手の電話番号を入力するだけで、簡単にお金を送ることができます。Swishが凄いのは手数料が0円のところ。手数料がかからず、手軽なのでSwishでは日々の買い物や、協会への献金などでも使われています。

 

とくに盛り上がっている分野は?

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Accenture

続いて、多数のフィンテック分野のうち、とくに盛り上がっているのはどの分野なのでしょうか。上図は、少し古いですが、NYにおける分野別の投資案件数のデータです。

1. 金融・市場分析サービス

2014年時点では、最も案件数が多いのは、水色の「Market」になっています。これは市場分析に関するサービスが中心になります。例えば、市場や金融情報の自動解析サービスなんかですね。

2. 決済・融資サービス

続いて、決済(グレイ)と、融資(ネイビー)が、同率で2番目となっています(2014年時点)。決済は、それまではダントツ1番だったのに、他分野は追い抜かれていますね。個人的な意見ですが、決済がそれまで異様に盛り上がってきたのは、インターネットのおサイフサービス「PayPal」や前述の「Square」などが大成功を収めたことが大きいのではないかと考えられます。

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それを見て「決済がアツい!」と多くのスタートアップが参入しようとしました(そして投資しました)。しかし、決済サービスに対する人々のニーズはシンプルです。①手数料が安くて、②便利で、③信頼できて ④多くの人が使っている この4つを満たすサービスを使いたい。これに尽きるのです。そのため、ある段階を超えると「手数料の安さや、信頼性獲得のためのプロモーションの、ガチンコ勝負」になってくるわけです。

つまり「決済がアツい!」と多くのスタートアップが参入したものの、だんだんと「決済は他に十分便利なサービスがあるから、他のフィンテック分野を狙おう」と考える人たちが増えてきたのではないかと思います(個人的な見解ですが)。

しかし、あくまでもこれはアメリカでの話。日本では、決済サービスの王者がまだまだ決まっていません。日本では、決済分野はこれから盛り上がっていくでしょう。

 

最後に

フィンテックのサービスは次々と生まれていますが、勝者はまだまだ決まっていません。今後も便利なフィンテックサービスが登場し、また多くのサービスが淘汰されていくでしょう。そして、淘汰されていくのは、競争に敗れたスタートアップだけではありません。その中には、旧来の大手銀行も間違いなく含まれているはずです。否が応でも、日本でもこれから多くの人たちがこの競争に巻き込まれていくでしょう。

参考

フィンテックについてもっと詳しく知りたい方はどうぞ。

 

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